子どもがいても、働いていても、アメリカの大学に留学してみたい!
やり直し英語実践中の方なら一度は思い描くことではないでしょうか?
そこで、育児休職中に子供を育てながら沖縄にある米軍基地内大学(メリーランド大学グローバルキャンパス:以下UMGC)のブリッジプログラムをオールAのグレードで修了した私の経験についてご紹介します!


この記事でわかること
・UMGCのブリッジプログラムへの入学方法
・UMGCのブリッジプログラムのメリット・デメリット
・UMGCのブリッジプログラムで勉強したこと
1施設内大学留学とは

一言でいうと、沖縄にいながら海外留学が体験できる制度です。言わずもがな学校は基地内にあるので、合格すれば基地内に出入り可能なベースパスを獲得できます。沖縄県の財団が入学希望者の選考を行い、米軍側に推薦するという流れで入学します。昔は奨学金制度が利用できました。
なお、沖縄以外にも横須賀や佐世保などの米軍基地を有している自治体で同様の制度が利用可能です。私のオンライン上のクラスメートの中にも横須賀市在住の方がいました。彼女は横須賀の施設内大学留学の制度を利用し入学しましたが、沖縄の米軍基地で開講されているクラスの授業時間を希望したため、オンラインで参加していました。
さらに、UMGCの日本人スタッフ曰く、コロナ禍以後オンラインの授業が主流となったため、施設内大学留学の制度を利用せずに直接UMGCに連絡すれば日本全国どころか世界中どこに住んでいてもパソコン一つで授業に参加し、大学の卒業資格を得ることができるとおっしゃっていました。
アメリカの大学の特徴だとは思いますが、とにかく生徒を集めるための宣伝や営業がすごいので、沖縄に住む予定がなくてもUMGC自体に興味のある方は是非大学に直接連絡して詳細の情報を得ることをおススメします。
2UMGCのブリッジプログラム(以下 ブリッジプログラム)とは

出典元:https://www.facebook.com/UMGCOkinawa/videos/642487215004460/
ブリッジプログラムは施設内大学留学の志望コースの一つです。他に大学と大学院のコースがあります。ブリッジという言葉通り、高校卒業から大学入学までの橋渡し的なプログラムです。英検2級レベルから1年で英検準1級レベルまで英語力を上げていくことを目標にするプログラムとイメージしていただければわかりやすいかもしれません。
英語初心者向けのコースであるため、高校を卒業したての方や、海外留学を考えているけれどもその前に挑戦したいという方が私のクラスにもいました。実際、ブリッジプログラム修了後、メリーランド大学の正規の大学コースに進む方や別の海外の大学に進む方がいました。
3ブリッジプログラムの募集期間

出典元:https://www.facebook.com/UMGCJapan/mentions/?_rdr
例年4月1日~4月30日くらいです。前年の11月か12月頃に模擬授業的なイベントが宜野湾市周辺で開催されます。応募資格の一つであるTOEICや英検の資格の合否通知等をここまでに取得できるように逆算する必要があります。また、履歴書や申請書の書類作成にも時間がかかるので、前年の要綱を見ながら早目に準備することをおススメします。就学希望理由の質問は①なぜアメリカの大学で学びたいか②施設内大学で学んだことをどのように活かしたいか等です。
4ブリッジプログラムの応募資格
4-1国籍
別添に詳細は掲載していますが、施設内大学留学の応募資格の一番の特徴は「日本国籍を有し令和 7 年 4 月 1 日現在沖縄県に住所を有している又はその子弟で通学可能な範囲に居住している…」ということです。
しかし、クラスメートの一人は、合格後に本州から沖縄に移住していたので、選考を受験する時点では沖縄に住所が無くても構わないと思います。加えて、同じ沖縄県でも学校からかなり遠くに住んでいるクラスメートは、受験から授業参加に至るまですべてオンラインで行い、一度も学校に足を運ぶことなくプログラムを修了していました。
したがって、沖縄に住所が無くても、また沖縄に住所を移す予定が無くても、施設内大学留学可能か一度財団に連絡することをおススメします。
4-2英語能力基準点
二つ目の特徴的な応募資格は英語能力基準点を有していることです。別添に詳細は掲載していますが、ブリッジプログラムの場合英検2級を持っていれば応募資格の条件をクリアできます。その他に、DuolingoやIELTSも認められています。ただし、取得期間に制限(例えば英検2級だったら5年)があるので、社会人の方は早目に準備することをおススメします。
5ブリッジプログラムの選考試験

出典元:https://capitolcommunicator.com/umgc-awards-246-million-media-buying-contract-to-seven-agencies/
選考試験は6月下旬に行われます。内容は私の時は面接のみでした。提出した書類に記載した内容を聞かれるので、日本語と英語両方で答えられるように準備をしていました。英語でも日本語でも解答しましたが、私の場合面接官は2人とも日本人でした。圧迫面接とかではなく、実際に通う意思があるのか?通えるのか?という点を重視していたと思います。入学後にクラスメートから、受けた人は全員受かるらしいという噂も聞きました。
6ブリッジプログラムの入学式

出典元:https://en.wikipedia.org/wiki/University_of_Maryland_Global_Campus
簡単な入学式が7月頃に行われました。必ず足を運ぶ必要はなく、宜野湾市の「まりりんぎのわん」の会議室で開催されました。財団側と大学と米軍基地の役職の方が英語で祝辞を述べていらっしゃいましたが、日本語での通訳もありました。
ここで、UMGCの日本人スタッフの方と初めて出会います。入学の手続きや今後の授業を受ける上でのパソコン上の手続きなどは日本人スタッフの方頼みになるので、その時にわからないことはしっかり質問しておいて損はないと思います。入学式ではブリッジプログラムの生徒以外にUMGCの大学や大学院に通われる方々等もいらっしゃいました。
7ブリッジプログラムの授業の登録等
最近の日本の大学も授業の登録等はオンライン化されていると思いますが、UMGCに関しても授業の登録や支払いのためのクレジットカード登録などすべてオンラインで行います。日本人スタッフからわかりやすいやり方が掲載された資料をメールで受け取りそれに従って期日までに手続きを進めます。

アマゾンストアでお買い物をするような形で授業をカートに入れて行ったのですが、お金がないと教育を受けられないんだなぁとヒシヒシと感じさせられました。
8ベースパスの手続き
ほとんどがオンラインで完結しますが、ベースパスの登録については基地に足を運ぶ必要があります。基地のゲートでベースパスを登録する小さな施設があるので、予約した日時に向かい、写真を撮るなど簡単な手続きを行います。ベースパスの登録については米軍基地側で厳しく管理されており審査に時間がかかるなどするため、大体授業の初日に間に合わないだろうと思っていたほうがよいです。

もちろんオンラインで授業を受ける予定の方はベースパスの登録は必要ありません!
9ブリッジプログラムの期間
1学期 | 8月29日から10月10日 |
2学期 | 10月19日から12月14日 |
冬休み | |
3学期 | 1月9日から3月5日 |
4学期 | 3月19日から5月7日 |
5学期 | 5月14日から7月9日 |
※私が受けた1年間のブリッジプログラムのスケジュールは大体こんな感じでした。
別添に詳細が掲載されていますが、各コースは8~9週間を1学期とする5~6学期制で、例年8月中旬~下旬に始まり、翌年の7月下旬に終わります。
私は朝の時間に行われる授業を希望したため火木の大体9時から12時まで授業を受けていました。5学期だけは、朝の授業を履修希望する生徒が定員に達しなかったため、夜の授業の履修となり、月水の18時から21時まで授業を受けていました。入学式の時に、日本人スタッフから毎年朝の時間のクラスは少なくとも1つは開講されると聞いていたので5学期の時にはかなり焦りましたが、周りの方のサポートにより無事卒業することができました。
1学期から4学期までは、週に2回8時間の一時預かり制度を利用して、保育園に子供を預けている間に授業と宿題を済ませていました。5学期だけは、自治体のファミサポの制度や夫の力を借りて子供を預け、夜の授業(18時から21時まで)に通い、卒業論文を完成させました。
10ブリッジプログラムで習った内容
10-1第1学期から第3学期まで


1学期から3学期まではスピーキングやコミュニケーションがメインの授業です。Pathwaysの教科書に沿って授業は進められていきました。
文章を読んで先生から質問を受けて答えるという一般的な日本の小中学校でも行われるような内容に加えて、グループでパワーポイントを作成してプレゼンを行ったり、個人でスピーチを行う授業もありました。
また、English Grammarの問題集の宿題もよく出されました。私が履修したクラスの先生は、Grammarの宿題の答え合わせを授業の中でやっていましたが、他のクラスの先生の中には答えを渡して自主学習として進めてくださいという方もいました。
宿題をこなすためにこの頃は大体3時間くらいは必要だったと思います。
授業はすべて英語ですが、日本人のクラスメートばかりなので、日本人同士で話しているところに、残念さを感じる人も少なくないとは思います。しかし一方で、宿題の大切な部分についてクラスメート同士で日本語で確認できる点については、ありがたみを感じたところもありました。
10-2第4学期から第5学期まで
4学期から5学期は完全に大学の論文を書く練習を行う授業でした。ここからは教科書を使わずに先生が用意したプリントや資料を元に授業が進められていきます。4学期の時に論文の書き方の基礎を先生が説明します。
簡単に言うと、Thesis statement(議題)を決めて、序論本論結論を作成し、1本の論本を完成させるという流れです。4学期は5学期の最終論文を作成するための練習の学期になると思います。
5学期には4学期に習ったメソッドを駆使してControversial(議論の的になる)なテーマの最終論文を作成しました。社会的に問題になっている内容の反対もしくは賛成側に立ち、あらゆる資料の証拠を集めて、説得力のある自分の考えを主張する論文を作成するというようなものでした。
何か教科書を丸写しすれば完成できるというようなものではないので、5学期に関しては子育てと家事の時間以外をすべてつぎ込んだくらい忙しかったです。最終論文を完成させるだけでなく、文法に関する宿題も出されます。ネット上で宿題に答えて、自分以外のクラスメート最低2人に対してコメントするという作業も大変でした。
11ブリッジプログラムにかかった費用
大体1学期750$+15$=765$なので、1ドル145円だとして、
765×145=110,925円
5学期分で554,625円
1年で60万円かからないくらいです。
私の時は1ドル160円越えの円安の時期だったので、60万円近くかかりました。
クラスメートの中には円高に振れてから振り込みしようとした方もいましたが、逆に上振れしてしまったりということもありました。
12ブリッジプログラム期間内に参加したイベント
12-1UMGC主催の様々なパーティー




アメリカの大学は日本に比べてとても華やかで節目節目にパーティーが行われます。その中でもHomecoming Partyは最も大きかったです。これはUMGCの卒業生や現役生が集う同窓会のようなパーティーで、10月頃に開かれました。基地内のレストランで開催されましたが、無料で本人以外の人家族や友人も複数名参加できたので、私は子供を連れて参加しました。立食パーティー形式でギルティーなアメリカのバイキングを楽しんだり、先生やスタッフのご家族もいらっしゃったので自分の子供と遊んでもらったりと交流を楽しみました。
別のクラスのブリッジプログラムの方とお話することもできたので、今後の進路について話し合っている方もいらっしゃいました。もちろん、正規の大学に通っているネイティブのアメリカ人の方が人数が多かったため、自分の勇気とやる気さえあれば、その方々の経験や現在従事している仕事についても話を聞くことはできたと思います。

その他に、感謝祭のパーティーが開かれ、男の先生が七面鳥を切って取り分けてくださったり、その際に大学のグッズがゲットできるルーレット大会が催されたりとなかなか日本の大学では経験できないイベントにも参加させていただきました。


たまに先生が基地内でしか買えないお菓子を差し入れしてくれました。めちゃくちゃ甘くておいしかった~
12-2基地内イベント
UMGCは米軍基地内にあるEducation Centerを間借りしている形で運営されています。Education Centerは図書館の中にあるので、基本的にUMGCの生徒はこの二つの施設を使用することができます。基地内の図書館は普通の図書館と異なり少し公民館的な役割も担っているため、色々なイベントが開催されます。秋の感謝祭やクリスマスの時期にはちょっとした軽食が提供される音楽会のようなものもあり、本やコピー機を借りる際に耳を傾けたりしました。
もちろん絵本を含めた図書館の本や基本的に英語なので、子供の読み聞かせのための本を借りたりできたこともかけがえのない経験の一つでした。



基地内のスーパーマーケットは米軍関係者のための物なので、特別なカードがなければ購入することができません。しかし、その場で消費できるもの…例えばフードコートの食料品やちょっとしたコンビニのサンドウィッチなどはUMGCの生徒でも購入可能です。同じサーティーワンでも日本では考えられないような色どりにびっくりしてしまいました!
13ブリッジプログラムに通うメリット・デメリット
13-1メリット
一番のメリットは基地の中に入れたことです。基地の中はまさにアメリカです。受付の人にちょっと話をする時も、本を借りる時も英語での会話が求められます。このちょっとした会話を行うために予習したり独り言で練習したりすることがスピーキング力アップやネイティブの人と話す度胸を強化することにつながりました。
13-2デメリット
ブリッジプログラムは自分自身で英語力を上げる意思がなければ修了できないシステムだと思います。先生の中には、宿題と課題についての説明をした後は授業をせずに質問のある人はいつでも自分のところに来てくださいね~何でも答えますよっというスタンスの方もいました。
つまり、自分自身で切磋琢磨しなければならず、学校側がお尻をたたいてくれるというわけではありません。(もちろん宿題や課題は厳しいですが…)そのため、ブリッジプログラムが修了した後に正規の大学に行く人は決して多いわけではありませんでした。
逆に言うと、海外の大学にいきなり行くよりは、その環境が自分に合うかどうかそれだけの投資をして海外の大学を卒業できるのかどうかを測るという点では非常にコスパが良い経験だとも思います。
実際に毎年何人かはブリッジプログラムさえも終えずに脱落していきました。私自身、スピーキング力のアップを期待していたので1~3学期については少し残念だと感じる部分もありました。ただし、4~5学期の大学論文の書き方の基礎を学ぶ授業については、大学進学を狙っている人にとっては必要不可欠な物だったと思います。
14ブリッジプログラムで最も楽しかったこと★ご近所さんとの交流

上記で書いたとおり、1~3学期のスピーキングの授業に物足りなさを感じた私は、ネイティブの人とのガチの会話をしたくなりある取り組みを勝手に始めました。授業が終わった後に、教室の外に「私は英語を勉強しています。私の英語を向上させるために私と英語で話してくれませんか。ちょっとした日本のお菓子もあります。」という張り紙をかけました。宿題をしている間にふらっと立ち寄ってくれたEducation Centerの中で働いている大学とは全く関係のない人たちと交流することになったのです。
偶然教室の斜め前に、退役軍人の方の福利厚生を支援する部署があり、そこで働いている食べることが大好きな職員の方が毎日昼過ぎくらいに遊びに来てくれることになりました。
私は宿題をしつつ、彼らは日本のお菓子をちょっとつまみつつ、子育ての話やら仕事の話やらその時の季節のアメリカの文化やイベントの話をしました。私の脳は沸騰し続けていましたが、向こうは英語で容赦なく話しかけてくるのでとにかくリスニング力の向上につながりました。
この経験はオンラインの授業では得ることができないかけがえのないものでしたし、英会話学校やNative Campだったら月3万くらいかかることを事実上お菓子代だけでできたことは本当にコスパが良かったなと感じました。
15卒業について

5学期までの厳しい宿題や課題をこなすと無事ブリッジプログラムを修了することができます。1学期ごとに先生が成績を付けてくれ5学期すべてAだった生徒はオールAの特別な修了証書を手にいれることができます。UMGCのブリッジプログラムで履修した単位もUMGCの正規の大学だけでなく、他の海外の大学でも単位として認められます。
そのため、夏から海外の大学に進学するクラスメートはかなり忙しそうに準備をしていました。なお、日本の大学の単位も海外の大学の単位に変換することができるそうですが、その方法は複雑なので専門的な日本人のスタッフが行うと言っていました。卒業の際に、UMGC側は正規の大学の生徒を増やしたいので、パワーポイントを使ってUMGCの正規の大学に入る手続きやどういった授業があるのかをスタッフが丁寧に説明してくれる会議なども行われました。
アメリカの大学は、入るのは簡単ですが、経済的にも勉強的にも卒業はとても難しいそうです。そのため、人によっては、働きながら子供を育てながら20年かけて卒業する人もいるということを伺い、自分もまだまだ頑張らなければならないと鼓舞されました。

卒業式も行っていただきました。参加しなくても修了証書はもらえますが、基地内のレストランで立食パーティーに参加し、先生から一人ひとりにメッセージカードが配られるなど非常に灌漑深く感じました。1年間ともに過ごしたクラスメートや先生とも沢山の写真を撮って別れを惜しみました。

中国系アメリカ人の1人の女性と私は出会ったのですが、①軍人として働きながら(ご主人は基地内でシェフとして働いているそうです)②男の子二人を育て③大学生としてUMGCに通っているという話を伺いました。本当に世界には頑張っている女性が沢山いて、自分なんてまだまだ井の中の蛙だなぁと恥ずかしく思ってしまいました
16まとめ

アメリカに暮らさなくてもアメリカの大学に行ける施設内大学留学はコスパ最高です。米軍基地の中に入るチャンスのある方は是非教室に通って授業を受けてみることをおススメしますが、オンラインでも経験できるチャンスはいくらでもありますのでコスパ良く海外の大学に挑戦してみてはいかがでしょうか!
コメント